恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 喜ぶべきなのかもしれないが、このギャラリーってほとんどうちの会社の社員に違いない。
 しかも、よくよく見ると社長までいる。
 こ、この状況、どうすればいい?
 社長に会う心の準備が正直言ってまだできていない。
 絢斗がパニックに陥る私を立たせると、周囲に謝った。
「騒がしくしてすまない」
 きっと一時間もしないうちに社内中にここでのことが広まるに違いない。
 絢斗の立場は大丈夫なの?
「美鈴、大丈夫 ? 彼女の言ったことは気にするな」
「私はいいの。絢斗はみんなの前で私が婚約者だって言って大丈夫だったの?」
「大丈夫もなにも俺にとってはもう婚約者だよ。まだ親に紹介してないってだけで、それもすぐに終わりそうだが」
 絢斗が社長に目を向けてクスッと笑うが、私は全然笑えなかった。
 どうしよう。
 絶対に峯岸さんの声、社長にも届いていたよね?
 こんな形で私の素性が知られるなんて最悪だ。
 もし社長に絢斗とのことを反対されたらどうすればいい?
 
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