恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「同級生か。もう一緒に住んでいるなら、早く籍を入れなさい」
 社長のその言葉を聞いて思わず声を上げた。
「え? 反対されないんですか?」
「これは私が設定した見合いを悉く断ってきた。どうしたものかと悩んでいたら、その息子が結婚したい女性がいるから会ってくれと言ってきた。断る理由などないよ」
 社長がハハッと笑うが、その顔は絢斗に似ていた。
「でも、私はどこかの令嬢でもありません。それに、母は他界しましたし、父親もどこの誰か知りません。まだ五歳の弟だっています。普通なら敬遠する相手ですよ。本当にいいんですか?」
 社長に確認せずにはいられなかった。
「いいとこの令嬢と結婚したってなにもいいことはない。私が経験済みだ。美鈴さんが絢斗を結婚させる気にさせただけでも感謝している」
「社長……」
 まさかこんなにすんなり私を受け入れてくれるなんて思わなかった。
「絢斗のことをよろしくお願いします」
 私に深々と頭を下げる社長を見て慌てた。
「社長、頭を上げてください」

 
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