恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました

「そこはお義父さんと言ってほしいな」
　ニヤリとして社長がビックリ発言をするものだから思わず目を丸くした。
「お、お義父さん？」
　呆気に取られる私を見て絢斗がフフッと笑う。
「父はせっかちなんだ。来年は結婚式の準備で忙しくなるよ」
「来年？　結婚？」
　思考が追いつかない。
　まずは挨拶って思ったいたら、いつの間にか結婚に話が移っている。
　菊池さんも話に加わってきて……。
「では、副社長の部屋で昼食を食べながら来年の結婚式の予定をこれから決めては？　その方が私としても助かります」
　菊池さんの提案に社長は賛成する。
「ああ。そうしよう。美鈴さんの弟の話を聞かせてほしいな。歩くんと言ったかな。とても賢いという噂だが」
　社長が私に尋ねるが、話についていけずにいる私の代わりに絢斗が答えた。
「ええ。賢いですよ。一度読んだ本を全部記憶するくらいね」
　それは誇張ではなく本当の話。
　弟は図鑑だろうが、一度読めば覚えてしまう。
　絢斗の話を聞いて社長がにこやかに笑う。