恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「お前みたいだな。将来うちの会社に入ってほしいものだ」
 思いがけずランチをすることになって最初は緊張していたけれど、社長は私を気遣ってくれた。志乃さんから私と歩の話をよく聞いていたらしい。
「正月は是非歩くんを連れてうちに来てくれ。テレビゲームを買ってね、歩くんとプレイするのを楽しみにしてるんだ」
 子供のために高い物を躊躇なくポンと買ってしまうのは血筋なのかも。
「そういうところ、絢斗さんにそっくりです」
 社長が子供のように目を輝かせるのを見て、クスッと笑った。

「それではよいお年を」
 社長たちとランチを食べた後、部に戻って仕事と掃除を終わらせ、みんなに挨拶して帰ろうとしたら、木村くんにからかわれた。
「来年は芹沢さんの名字変わってるかもしれませんね」
「確実に変わるわよ。相手は副社長だもん。今日の峯岸さんの件で社員もみんな美鈴が副社長の婚約者って知ってるし」
 咲も木村くんに同調してふふっと笑う。

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