恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました

しばらく車の中で休んでいると警察がやってきて、菊池さんが鮫島を引き渡し、聴取を受けた。
　警察が引き揚げると、私たちは絢斗のマンションへ――。
　今日はいろんなことが起きてもうヘトヘト状態。
　だが、歩に心配をかけてはいけない。
　弟には鮫島のことは言わず、保育園でもらった手紙を渡し、普段通りに振る舞った。
　だが、弟を寝かしつけてリビングに戻ると涙がこぼれてきて、私の様子がおかしいのに気づいた絢斗が私を抱き上げて寝室のベッドに運んだ。
「ううっ……」と嗚咽を漏らして泣く私を彼が優しく抱きしめる。
「怖かったよね。もうあいつはいない。大丈夫だから」
　私の背中をさすり絢斗が言葉をかける。
「こ、怖かった……。鮫島に襲われるんじゃないかって……」
　そんな不安を口にすると、絢斗は私に約束した。
「なにがあっても絶対に俺が美鈴を守るよ」
　その言葉を聞いて、不安や恐怖が徐々に消えていく。