恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
峯岸さん本人がいなかったのも気に入らなかったようだし、私に謝罪しなかったことがお父さまの逆鱗に触れたのだろう。
 絢斗は、『今後峯岸さんは会社での地位を失い、彼女の父親も業界での評判を悪くしてダメージを負うと思う』と淡々とした口調で話していた。
 淡々とというか、彼も内心は腸が煮えくり返るくらい怒っていたようだ。
 まあ、峯岸さんも不運だったと思う。
 経済界を牽引している一条親子を怒らせてしまったのだから。
 鮫島の方は勾留中で取り調べを受けているところ。警察署から逃走したとこでさらに刑が重くなると絢斗が話していた。
 コンコンとドアをノックする音がして、志乃さんが返事をした。
「はい、どうぞ」
「準備できた? あっ、すごく綺麗じゃないか」
 絢斗が入ってきてそう口にすると、彼の隣にいる歩もにっこり笑って私を褒める。
「美鈴、すごく綺麗」
「ありがと」
 はにかみながら礼を言ったら、歩が私の手を握った。
「初詣行こう」
「うん」
 
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