恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました

ああ～、彼と寝たの？
寝てないの？　どっち〜？
どちらにしろ、もうきっと彼と顔を合わせて会うことはない。
幸い彼の会社で働いていることはバレていない。
昨夜あったことは忘れよう。
　こんなにハラハラするくらいなら、もうレンタル彼女なんて絶対にしない。
　次からは叔父さんにもちゃんと断る。
　そんなことを考えていたら、タクシーが猫カフェの近くにある叔父さんのマンションの前に停まった。
「六千円になります」
　タクシー運転手に言われ、思わずメーターの料金を確認した。
　うわあ、痛い出費。
　そりゃあ赤坂から吉祥寺までだもん。そのくらいするよね。
　今週はお昼ごはん、コンビニのおにぎりだな。
　ハーッと深い溜め息をつきながら支払いをして早足でマンションに入り、インターホンを押してロックを解除すると、十二階にある叔父さんの部屋へ――。
　ドアの横にあるインターホンを押そうとしたら、ドアがガチャッと開いて叔父と歩が出てきた。
「叔父さん、ごめんなさい。歩もごめん！」