恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 見合いを断るためなら仕方がない。ずっと恋人の振りをするわけでもない。
 短時間なら我慢できるだろう。
 そう自分を納得させてスケジュール通り仕事をこなしていく。
 その日の会食が終わると、自宅マンションへ向かう車の中で拓真が俺にスマホを見せた。
『レンタル彼女の話、友人のお勧めがこの三人。どの子もリピート率が高くて、性格もいいって話だ。どうだ?』
 拓真の手からスマホを奪って、キャストの写真を眺めるが、これだと思う相手がいない。
 どの子もそれなりに顔は整っているし、キャバ嬢のような派手な感じではない。どちらかといえば清楚な印象だ。プロフィールもピアノや英会話が得意と書いてあって、まるで見合いの釣書のよう。
 声とか雰囲気もわかればいいんだがな。生理的に合わない相手だったらマズい。
 以前あるパーティーで父に頼まれて女性をエスコートしたことがあるが、あまりに高飛車な女で身体も拒絶反応を示してじんましんが出た。
 馴れ馴れしい態度。プンプン匂う香水。思い出しただけで虫酸が走る。
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