恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
女は好きではなかったが、彼女のことは一目置いていた。こんな気立てがいい子がいるんだって……。
 その彼女がレンタル彼女?
 なぜそんな仕事をしているのか。
 彼女なら一流企業に就職できるだけの頭があったはず。会って確かめたい。
『ひょっとして知り合いか?』
 拓真に聞かれ、言葉を濁した。
『ちょっとな。この子にする。料金は?』
『百万円。前金で五十万。仕事が無事に終われば、キャストに五十万渡すことになってる』
 彼の話を聞いて指示を出した。
『そうか。前金の方はお前が手続きしてくれ』
『高いとか言わないんだな? 普通の相場からすると、かなり高いぞ』
 拓真が突っ込んで聞いてきたので適当に誤魔化した。
『見合いを断るためなら、安いものだ』
 高校の同級生がレンタル彼女をやってるなんて言いたくなかったのだ。
 日曜日の恋人役を芹沢美鈴に決めると、彼女のために服と靴も用意したが、選んだのは自分。なんとなく拓真に任せたくなかった。
 当日ホテルのラウンジで待ち合わせをしていると、美鈴が現れた。
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