恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 叔父には母が亡くなった時からお世話になっている。絶対にやりたくないが、私が対応するしかないだろう。
 溜め息をつきながら走り続けると、保育園が見えてきた。
 弟の保育園は駅から徒歩十分の場所にあり、木造の平屋建てで、図書室、遊戯室、音楽室、   園庭があって都心にある施設にしては広々としている。そんな立派な保育園に通わせることができるのも、咲のお父さまのコネがあったから。
 門の前でインターフォンを押して私の写真付きの許可書を見せて中に入ると、正面玄関の前に保育士の先生と歩がいた。
「す、すみません。遅くなりました!」
 延長保育をお願いしているが、いつも時間ぎりぎり。
「今日も歩くん、いい子でしたよ。先生のお手伝いもたくさんしてくれて」
 先生の報告を聞いて、歩の頭をよしよしと撫でた。
「歩、すごいね」
「大したことしてないよ」
 まだ五歳なのだけれど、弟はクールに返す。
 
< 6 / 256 >

この作品をシェア

pagetop