恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
ゲストルームが整っていなかったのでとりあえず俺の寝室に連れて行きベッドに寝かせる。車の中でもそうだったが、美鈴は辛そうだった。
 とりあえず熱を冷ます冷却シートを額に貼って、加湿器もつけた。
 それからすぐに医者がやってきて、美鈴を診てもらう。
『風邪ですね。薬を出しますので、起きたら飲ませてください』
 ドクターの診断を聞いてホッと胸を撫で下ろした。
 薬をもらうとドクターを見送って寝室に戻るが、ベッドで寝ている美鈴と彼女のそばにいる歩くんを見て改めて思う。
 悪い病気ではなくてよかった。
 美鈴はこのまま寝かせるとして、歩くんはどうすればいいだろう。
 一人っ子だったから小さい子供にどう接していいかわからない。
 名刺を渡して美鈴に笑われたくらいだ。
 だが、このままにはしておけない。
 ベッドに近づいて、歩くんに声をかけた。
「お姉さんは大丈夫だよ。先生も言ってたけど、ただの風邪だから熱が下がればすぐに元気になる」
「うん」
 歩くんは俺を見てコクッと頷いた。
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