恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 俺に言われる前に先を考えて調べるのが拓真らしい。
 彼が電話を切ると、実家に連絡し、俺が小さい頃からお世話になっているお手伝いさんにうちに来てもらうよう頼んだ。
「これで明日俺がいなくても大丈夫だろう。問題は今後どうするかだな」
 社員寮に空きがないなると、やはりうちにいてもらうのがいいだろう。
 マンションを用意することもできるが、美鈴が素直に住むとは思えない。かと言って、うちにずっといるのも彼女は拒むはず……。
 だったら、交換条件を出して、彼女がうちに住むようにさせるか。
 美鈴には恨まれるかもしれないが、あのアパートに住み続けて彼女や歩くんが危険な目に遭うのに比べたら全然いい。
 しばらくすると、歩くんが戻ってきた。
 ブルーのパジャマを着て、手には手のひらサイズのクマのぬいぐるみが握られている。
「歩くん、明日はお姉さんと一緒にここにいてもらうことになるけどいいかな?」
 保育園に行けないことを伝えなければと思った。
 
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