ヴェルカナ
ヴェルカナは一人、広い牧場の隅に穴を掘った。三日三晩、寝ずに大きな穴を。
おじいちゃんが余裕で入れる程の穴になった時、おじいちゃんと一緒にヴェルカナもその穴へ飛び込んだ。土を被せる人間なぞそこにはいなかったが、おじいちゃんと寄り添い、目を閉じると安息を手に入れる事が出来た。
ヴェルカナはそのまま、目を開けなかった。




それが彼女の運命だったのだ。
異性が異性に興味をなくし、人類が絶命しかけの未来、誰かに弔って貰う事を人間は欲した。
有り余る知恵で機械を作った人間は、最後を共にする運命を、人形に埋め込んだ。
知識を得た機械人形は、主と共に生き、死ぬ。それが機械にとって美徳であると。



ヴェルカナは、おじいちゃんの身が消えてなくなろうとも、あの穴の中で眠り続けるのだろう。





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