幼なじみ
「ところで、なんでここにいるの?」

「…ゆうちゃんと待ち合わせ」

なんとなく、天悠の名前は出しづらい。

「へえ、相変わらず仲いいんだな」

健悟は笑う。

「…おめでとう」

嫌なのに、認めたくないのに、祝福の言葉が自然と出た事に自分でも驚く。

「ありがとう」

健悟は幸せそうに笑った。
その後、2人にしかわからない話を始めて、仲が良い様子をこれ以上、見ていたくなくて、喜々良は静かにその場から離れた。

ふ、と朝来を思い出す。
可愛らしい顔立ちによく似合うロングヘア。
太くも細くもない身体に、スッと伸びた手足。

モテるはずなのに、…なんで健悟なんだろう…?
先に健悟を好きになったのはわたしなのに!!

…なんだか自分が、とても嫌な人間になってしまったようで、喜々良は落ち込んだ。
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