アイドルが彼氏になったら
彼女は指を見ながら固まっていた

まさに目が点

彼女の指には大きなダイヤモンドの指輪


「これ、何?」

くぐもった声

大きな目のふちが赤く染まる



 「その涙と同じ意味だよ」
 
 「君への愛は到底形に表せるもの
  ではないけどナミが持てる形に
  するとこうなりました」


彼女の揺れる瞳を見つめた





「僕と結婚してください」




表面張力が決壊し綺麗な縁取りから
水がこぼれた

驚いて見開いた目から
次々に落ちる雫


彼女の手を握り優しくさすって落ち着くのを待つ



「私でいいの?
 一回りも歳上だし平凡な女だよ?
 一生私だけで満足できる?
 後悔しない?
 大丈夫?」

「本当に… いいの?…」


涙をボロボロ流しながら
僕の目を見て問いかける

自虐的な事を言いながらも
否定してほしいと書いてあった

彼女が僕と付き合ってから
ずっと気にしていた事だろう


「最近ね、

 綺麗な花や美味しい食べ物に
 出会った時

 真っ先に思い浮かべるのは
 君の事

 一緒に見たかった、
 一緒に食べたかった

 って思って一緒にいる事を想像
 するんだ

 それが何とも言えないくらい幸せな
 時間なんだよね


 今までの不感症みたいなコチコチの
 心だったらありえない

 幸せを運んでくれてありがとう」


 「だから、さっきの答えはすべて
  YES

  そして隣にいるのはナミじゃ
  なきゃ嫌なんだ

  君にしかできない」



 「ナミ、本当に本当に愛している」



ナミのナミダが滝のように流れ出た



 「ナミのナミダ 笑」

 「こんなに泣いたらまたピスタチオ
  になっちゃうよ」

「もう多分なってるよね」



「嬉しくて感動して驚いて
 有難くて愛しくて…
 もう言葉がありません…」


「こちらこそこれからもよろしく
 お願いします」


「私も、あなたを

 幸せにしてあげたい

 本当に愛してます」


我慢できずナミの隣に周り強く抱きしめる

おでこにキスをする

もう十分幸せにしてくれてるよと

びしょぬれの両目、鼻、両頬にもキスを降らせながら伝える

唇には愛をこめて




誰かを心から愛し、

ただ隣にいたいと願う

穏やかな暖かい気持ちで溢れていた
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