目の上の義母(たんこぶ)
理想のプロポーズは、夜景を見下ろすレストランでゆっくり食事をしたあとに――。

なんてことを思い浮かべていた。


だけど実際は、少し散らかっている翔平の一人暮らしの部屋の中で。


それでも、わたしはとてつもなくうれしかった。

ようやく、長年待っていた言葉を聞くことができたんだから。


こんなことなら、もっと前からカマをかけておくべきだった。

そうしていれば、今頃幸せな結婚生活を送っていたのかもしれないのに。



そして、あれだけ悩んでいたのがなんだったのかと思うほど、それからはトントン拍子で物事が進んだ。


お互いの親への挨拶。

両家顔合わせ。

婚姻届の提出。

結婚式と新婚旅行。


わたしの左手の薬指には結婚指輪が輝き、ようやく夢見た結婚生活がスタートしたのだった。


ちゃんと翔平と結婚することができた。
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