目の上の義母(たんこぶ)
しかし、わたしの服装を見て表情が変わった。


「あら、陽葵さん。そんなおしゃれなんかして、どこかへお出かけかしら?」

「…あ、はい。今日はちょっと、高校のときの同窓会に…」

「…同窓会?亭主を家に残して、1人だけいいご身分ね」


そうぼそっとつぶやくと、お義母さんは許可なく勝手に上がり込んできた。


狭い廊下でお義母さんと交差し、お義母さんの荷物がわたしにぶつかった。

あまり見かけたこともない、茶色のボストンバッグだった。



「ちょっと翔平〜!いるの〜?」


まるで、自分の家かのような振る舞いだ。


「どうしたんだよ、母さん。急にきて」

「ちょっと翔平、聞いたわよっ。陽葵さん、今日は同窓会に出かけるんですってね」

「ああ、そうみたいだな」

「あなた、そんなのんきなこと言って…。夕飯は、どうするつもり?」
< 49 / 115 >

この作品をシェア

pagetop