目の上の義母(たんこぶ)
ても、べつに今でも好きというわけではない。


ただ、晴馬はわたしのことをよく知る人物。

もしかしたら、翔平よりも。


だから、高校時代の淡い恋の思い出が少し蘇っただけ。


晴馬が当時のままのような気がして、まだ結婚していないとわかって、少しだけホッとしたのかもしれない。


――しかし。


「でも、もうすぐ結婚する予定なんだ」



晴馬のその言葉に、一瞬表情が固まってしまった。


心臓がバクバクと、煩わしいくらいに鳴っている。


なにを…そんなに動揺するなんてっ。


だって、もう30。

結婚してたって、なにもおかしい年齢なんかじゃない。


「そ…そうなんだ〜。おめでとうっ」


なのに、素直に『おめでとう』が言えず、表情がぎこちなくなる。


「サンキュー。だから、独身でこうして羽伸ばせるのも、これが最後かも」
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