目の上の義母(たんこぶ)
「保育士にはなれなかったけど…。今の部署も保育課だから、少なからず子どもと触れ合える機会はあるし。だから、今の仕事に満足してる」


どうやら晴馬は、地元で就職をしたくて、わたしの実家近くの市役所で働いているらしい。

待機児童問題等で、なかなか保育園に入れないお母さんのクレームを聞くこともあるけど、そんなお母さんや子どもの助けになれるようにがんばっていると。


「大変なこともあるけど、今の仕事のおかげで彼女ともこうして結婚できるわけだし。…保育士だったら、そうはいかなかったかもしれないからな」


当時は、あんなに保育士になりたいと言っていたのに…。


憧れていた理想の結婚とは違い、窮屈な結婚生活を送っているわたし。

そのわたしと同じで、晴馬も理想と現実の違いに阻まれてしまったんだ。
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