目の上の義母(たんこぶ)
「そ、そんなことないよ?いつもと同じだよ…?」

「そう?まぁ、陽葵が機嫌いいなら、俺もうれしいけどー」


翔平には平静を装ってみるけど、早く病院に行きたい気持ちでいっぱいで、朝食の準備も翔平のお弁当作りだって、なかなか手が付かない。


頭の中は、ようやく待ちわびた『妊娠』の二文字しかなく、自分でもわかるくらいわたしはどこか上の空だった。


本当は今日、コンタクトを買いに眼科を受診する予定だった。

しかし、それをやめて、わたしは翔平が仕事に行ったあと、家から一番近い産婦人科に電話をしたのだった。



プルルルルル…


コール音の間、耳にかざすスマホを持つ手が緊張で震えている。



〈はい、赤鹿(あかしか)産婦人科です〉

〈あっ…あの、そちらにお伺いするのは初めてなんですが、今日の予約を取りたくて…〉
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