断罪された公爵令嬢は元婚約者の兄からの溺愛に囚われる
8.ガールズトーク
初夏。爽やかな陽射しが、窓を通して部屋へと入り込む。
いつものように、屋敷で大人しく過ごしてた時のこと。両親から呼び出されて、話を聞きに行く。
そこには、険しい顔をしたお父様に泣きそうなお母様がいた。両親からの知らせを耳にして、わたくしは驚きのあまり息を呑む。
「――第二皇子であったイーサンさまが、地下牢を脱獄した……?」
「あぁ……、まだ公表されていない情報だが、ジャック皇太子殿下が直々に知らせてくれたんだ」
「ヴィクトリア、お願いだから、屋敷から引き続き出ないで。絶対に安全なところにいるのよ」
両親が心配しているということは、つまり、わたくしが狙われる可能性があるのだろう。
これまで以上に護身術を磨かなくてはいけないわね。
「それとヴィクトリア。……言いにくいのだが、妙な噂が流されたんだ」
「妙な噂……?」
「ジャック皇太子殿下の元婚約者であった隣国の王女の死に、ヴィクトリアが関わっているのではと囁やかれている」
わたくしは、思わず目を見張る。
そうか、全ての歪(ひず)みは、わたくしのせいという風に誰かが仕立てあげているのね。
隣国の王女の死、リリアン男爵令嬢への強姦、イーサン元第二皇子の脱落、その全ては、きっと、わたくしがジャックさまの婚約者になるためやった事だと言われているのかしら。
行き着いた考えに、ぞっとして、鳥肌が全身に立つ。
「お父様、ジャックさまは、大丈夫なのでしょうか」
「大変忙しくされているが、彼の方は強くあられる。私も父親として公爵として、殿下に協力するよ。だから大丈夫」
お父様からふわりと抱き締められる。
「ヴィクトリア、大きくなったな。渦中に巻き込まれて不安だろうに、自分のことより、ジャック皇太子殿下の心配をするとは。色々あったが、愛する人と一緒になれることは喜ばしい」
「はい。お父様、ありがとうございます」
すると、お父様は、絞り出すように、「政略結婚を強いて、こんな目に合わせて申し訳ない」と小さな声で呟いた。
いつものように、屋敷で大人しく過ごしてた時のこと。両親から呼び出されて、話を聞きに行く。
そこには、険しい顔をしたお父様に泣きそうなお母様がいた。両親からの知らせを耳にして、わたくしは驚きのあまり息を呑む。
「――第二皇子であったイーサンさまが、地下牢を脱獄した……?」
「あぁ……、まだ公表されていない情報だが、ジャック皇太子殿下が直々に知らせてくれたんだ」
「ヴィクトリア、お願いだから、屋敷から引き続き出ないで。絶対に安全なところにいるのよ」
両親が心配しているということは、つまり、わたくしが狙われる可能性があるのだろう。
これまで以上に護身術を磨かなくてはいけないわね。
「それとヴィクトリア。……言いにくいのだが、妙な噂が流されたんだ」
「妙な噂……?」
「ジャック皇太子殿下の元婚約者であった隣国の王女の死に、ヴィクトリアが関わっているのではと囁やかれている」
わたくしは、思わず目を見張る。
そうか、全ての歪(ひず)みは、わたくしのせいという風に誰かが仕立てあげているのね。
隣国の王女の死、リリアン男爵令嬢への強姦、イーサン元第二皇子の脱落、その全ては、きっと、わたくしがジャックさまの婚約者になるためやった事だと言われているのかしら。
行き着いた考えに、ぞっとして、鳥肌が全身に立つ。
「お父様、ジャックさまは、大丈夫なのでしょうか」
「大変忙しくされているが、彼の方は強くあられる。私も父親として公爵として、殿下に協力するよ。だから大丈夫」
お父様からふわりと抱き締められる。
「ヴィクトリア、大きくなったな。渦中に巻き込まれて不安だろうに、自分のことより、ジャック皇太子殿下の心配をするとは。色々あったが、愛する人と一緒になれることは喜ばしい」
「はい。お父様、ありがとうございます」
すると、お父様は、絞り出すように、「政略結婚を強いて、こんな目に合わせて申し訳ない」と小さな声で呟いた。