断罪された公爵令嬢は元婚約者の兄からの溺愛に囚われる
13.渾身の一撃
ベッドや布団もなく、石の床に座り込んでいると、段々と日が登ってきた。
牢の中には脱出が出来そうなものは、全く置いていない。
手足の拘束は固く結んであって、解けずにいる。
(やっぱり、牢が開いた隙を見計らって、相手を倒すしかない……?)
軍人のイーサンを倒す未来を上手く描けず、絶望的だ。
仮に倒せたとしても、手足の拘束があって、充分に走ることは出来ないだろう。
時間が経つごとに焦りがどんどん膨らんでいく。
いくら動かしても後ろ手にくくられた縄は解けない。足首の縄も少しも緩まない。
必死に拘束を解こうとしているから、手首と足首はきっとあざになってる。いくら痛みを覚えても、抵抗せずにはいられなかった。
太陽の日差しがじりじりと窓越しに照りつけ始めた頃。
そろそろお昼ごろになるかと思った時、コツン、コツンと足音がこちらに向かってきた。
嫌な汗が背中を伝うと、わたくしの身体が、身震いしてきた。
(どうしよう、怖い……)
わたくしは必死に今まで習っていた護身術を思い返す。ジャックさま以外の男の性奴隷になるだなんて耐えられない。
だから反撃をしなくては。一撃必殺、あれだけ練習してきたもの。やるしかないわ。