断罪された公爵令嬢は元婚約者の兄からの溺愛に囚われる
16.告白
公爵家のお屋敷に到着した後、両親が涙を流しながら出迎えてくれた。
事情聴取は明日内密に皇城で行われる事になり、ジャックさまとは抱きしめあって一旦お別れをした。王家に関する醜聞になるので、この件は内密に処理されるそうだ。
わたくしは猫のルナこと、エステル王女を抱きかかえて自分の部屋に戻る。
扉を開けて見慣れた景色を眺めると、やっと肩の力が抜けてきた。
「ようやく帰ってきたのね……」
「にゃーん!」
このままでは自室を汚してしまう。わたくしは部屋についているお風呂へと真っ先に進み、ここ数日間の汚れをメイドのリラがお風呂で落としてくれた。
手首と足首の拘束跡にリラの方が痛ましそうな顔をしていて、心配してくれているのだと実感する。
エステル王女も猫の姿のまま他のメイドにシャンプーをされていた。
「リラ、ありがとう。休みたいから一人にしてもらえるかしら」
「承知しました。たくさんの護衛が屋敷中におりますので、どうぞごゆっくりお過ごしください」
「ありがとう。心配をかけたわね」
「ご無事で何よりでございました。それでは失礼いたします」
メイドのリラを見送った後、ベッドへとごろんと横になる。
しばらく気を張っていて、睡眠不足だったから流石のわたくしも眠い。エステル王女もベッドに入ってくると、ぽつりぽつりと語り出した。
「あのね、ヴィクトリア」
「いかがなさいましたか?」