断罪された公爵令嬢は元婚約者の兄からの溺愛に囚われる
やっと日常に戻れたかと思ったのに、明日からまた監禁……?
ルナの瞳は真剣そのもので、嘘に敏感になっているわたくしでも、本当のことなのだと悟った。
「ヴィクトリアが逃げたいなら私が協力するわ! 一緒に平民として暮らしましょう!」
ルナだって大変な身の上なのに。それにジャックさまが監禁するほどわたくしのこと執着してくださっているのなら、一緒に逃げたらルナの身に危険が起こるかもしれない。
でもそんなこと承知の上なのか、真摯な眼差しは変わらないままだ。
「……どうしてそんなに良くしてくれるの?」
「だって、ヴィクトリアは推しだから!」
「お、推しって……?」
「前世からヴィクトリアが大好きだったってことよ!」
純真な告白に、わたくしは思わず顔を赤らめた。
しかし次の瞬間にルナは大きな欠伸が出て、気が抜ける。お互いにくすくす笑い合ったところで、わたくしも睡魔に襲われる。
「ルナ、少し寝ましょうか。考えるためには睡眠が大事みたい」
「それもそうね。おやすみ、ヴィクトリア」
重い瞼が視界を暗闇に誘う。直ぐに可愛らしいルナの寝息が聞こえてきて、わたくしもその後に続いた。