【改稿版】明日はキミのために泣きたくない。


「そうだ、千紘。今日体育あるよ?」

「うん……やだなぁ」


 体育は一番嫌な教科だ。私は訳あって参加できないから。


「じゃあ、保健室?」

「……うん、そうだね。」


 参加したいと思うたび、もう痛いはずはないのに何故か傷が痛む。何年も前の傷なのに……ね。


『……責任を、取ります。』


 傷が痛む時はいつだって、彼の言葉が木霊するんだ。まだ高校生だった時の、切ない声で言った言葉が。



「……千紘! 大丈夫!?」

「あっ、うん……大丈夫。ありがとう」


 ――キーンコーン、カーンコーン…


「うわ! 予鈴! 次は古典じゃん!」

「そうだっ……やばい!」


 暗くなった心が、予鈴のおかげで晴れていった気がした。

だけど結局、ギリギリ間に合わなくて先生に凄く怒られてしまった。




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