【改稿版】明日はキミのために泣きたくない。

  ***


「……ぃ! ちぃ! 起きろよー!」
んー……誰か呼んでる……?
「早く起きないとキスするけど」
 き、キス!? そう思ってぱっと起き上がった。
「なーんだ、残念。起きちゃったのか」
「あ、朝陽? あれ仕事は?」
「今何時だと思ってんだよ、9時だよ。定時で終われたから飛んで帰ってきたら寝てるし」
 あはは……だって来てくれるなんて思わなかったし。
「ちぃ不足で死にそうなんだよ」
「えっ……んん……っ」
 甘い声が漏れちゃう……恥ずかしくて、声を必死に我慢していればキスは止まった。
「……旅行いけなくてごめんな」
「大丈夫だよ、仕事だもんね。仕方ないよ」
 朝陽は、私をベッドの上に押し倒すとまたキスを繰り返す。とろけるような甘い甘いキスを……何度も。
 朝陽の唇が首に降りると、パジャマのボタンをひとつずつ外していく。
外し終われば、鎖骨にいって次に私の傷痕にキスを落とす。
「あ、朝陽っ! お母さんたちいるじゃん…っ」
「……大丈夫だ、さっき出かけていったよ。だから大丈夫だ」
「……んっ」
 もう……こんな昼間から、ダメだよ……。
「よし、行くか。」
「え? どこに?」
「まずはモーニングだよ。早く支度して」
 朝陽が出ていくと唖然。朝陽ってこういうとこあるんだよなぁ。
 デートだよね、デートなら服決めなきゃ。花柄のシフォンワンピースにデニムジャケットを着て、髪をクルンクルンに巻いて……っと。
「お待たせしました〜朝陽?」
「やっと来たか〜……今日も可愛いね、服が」
「……でしょ? 菜央が選んでくれたの。ジャケットは朝陽がくれたやつだよ。」
 ジャケットは去年、朝陽に買ってもらった。おかげで少し薄い服でも傷痕が隠せるようになったからお気に入りのひとつなんだよね。
「……今日も可愛いな。」
「え、さっき可愛いって言ってくれたじゃん…2回もーー」
 朝陽は私の腰を引き寄せるとぎゅっと抱きしめた。
「あっ、朝陽?どうしたの」
「服じゃなくて……ちぃが可愛いんだよ。すげー可愛い。」
 ど、ド直球すぎる…⁉︎
 それに耳元で話さないでよ…っ
「顔真っ赤じゃん…もう少し抱きしめていたいけどこれ以上したら止まんなくなるからやめとくね」
「……っ」
「……行こ、千紘」
 朝陽は手を握ると私に微笑んだ。けど、時々不安になる…。
「……朝陽」
「どうした?」
 朝陽は無理して笑ってる気がして、
「私のこと、好き?」
 ……自分で聞いたのに答えを聞くのが怖い。
 けど、きっと彼は笑って言うよね。“好きだよ、千紘”って――
「あぁ、誰よりも大好きだよ。」
 ほらね……?
「ふふっ私も好きだよ。モーニング行こ!」
「あぁ、早く行かなきゃモーニング終わっちゃうな」
 家を出て朝陽の車で家の近くの喫茶店に入った。


「ミルクティー美味しい……幸せ〜」
「はは……良かったな。」
 喫茶店のモーニングを堪能して幸せを感じる…さっきまでは、不安だったのにこんなことで幸せになるなんて単純すぎ……。
「朝陽、食べないの?」
「ちぃの笑顔好きだなぁって……ちぃの笑顔見てるだけでお腹いっぱいだよ。幸せ」
 なんでこんな堂々とサラッと言えるんですかね。しかも最後の微笑みはなんですか。
 朝陽はずっと私を見てたのに食べるの早い。私が茹で卵の殻をむくのを苦戦してたらもう食べ終わってたし……。
「ゆっくりでいいよ。今からちょっとドライブだからさ」
「ドライブ? どこ行くの?」
「秘密」
 旅行行けなかったし遠出でもするのかな?

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