【改稿版】明日はキミのために泣きたくない。
翌週、登校前に亜樹くんはやって来た。
「おはよ、ちぃちゃん」
「おっ、おはよ……びっくりしたよ、迎えにくるなんて〜」
亜樹くんのマンションから近いと言っても彼がいつも利用するバスで行った方が早いのに……やって来た彼はとても眠そうだ。きっといつもはバスで寝てるんだろうな。
「ちぃちゃんと出来るだけ一緒にいたいんだよ」
「あ、ありがとう……」
うぅ〜……そういうこと普通に言うんだよね、この人。モテる男は違う。こうやってさりげなく、手を繋ぐところもすごい。
「あ……」
家を出てすぐ、会ったその人はとても驚いた。久しぶりすぎて私も少し驚いてしまったけど。
「俺ら付き合ってるんです、もちろん両想いです」
「……っ……」
「一応、報告です……千紘は俺のものなんで」
亜樹くんはそう言い切ると「行こう」と私に言い手は繋いだまま歩き出した。
久しぶりに会った……朝陽と。少し痩せた、かな?
「ごめん、なんか独占欲丸出しって感じだよな……反省」
「ううん、ありがとう……亜樹くん」
すごく救われた……亜樹くんがそう言ってくれて、とっても嬉しかった。二人、手を繋いで学校に行くとすぐ亜樹くん……と私は囲まれた。
さすが亜樹くん。モテモテだな……。
「亜樹くーん! おはよ〜」
「亜樹くんだ!」
「あ、亜樹くんっ! お弁当作って来たの、よかったら─︎─︎─︎」
女の子私は眼中にないんだな。私、透明人間状態だ。
「……お弁当はいらないって毎日いらないって言ってるよね、俺彼女いるし」
「えっ……」
「わかんない? 手繋いでるじゃん」
ビシッと言った亜樹くんだけど、やっぱり納得できないのか大人しそうな小柄な女の子が前に出た。
「なんで……その子なんですか?」
「そ、そうですよ!」
「え、付き合ってるんだから好き同士だよ。ずっとアタックして来てやっと付き合ってもらえたんだ……邪魔しないでもらえる?」
そう言った亜樹くんは手を繋いだまま、唇にキスをした。
「……行こ、千紘ちゃん」
なんか、亜樹くんってこんなはっきりいう人だったんだ……と新たな発見した朝だった。