【改稿版】明日はキミのために泣きたくない。
◇◇◇
(朝陽side)
仕事終わり。
「水瀬、今日暇?」
「山内さん……ああ、そうですね」
上司の山内さんに誘われてご飯を食べた後、外に出るとスマホが鳴った。誰だろうと、画面を見ると【千紘母】と出ていて驚く……何かあったのか? そう思い、山内さんに断りを入れ、電話にでた。
『もしもし、朝陽です』
『あっ! 朝陽くん、千紘知らない!? まだ帰ってきてなくて……』
え……? 帰ってない?
今、もう二十時になる。この時間なら千紘ならとっくに帰ってる。学校で勉強していても、この時間なら家にいる時間だ。
『おばさん落ち着いてください……おばさんは家にいてください、そこに誰かいますか?』
『えっと……彼氏だって言ってる亜樹くん、って子と菜央ちゃんだけど……』
『じゃあ、そのふたりを学校に向かわせてください……俺は先に学校へ行きます』
ここから車でなら学校まで数分で行けるはず。まずは、山内さんたちに帰ると言わなきゃ。
『朝陽くん』
『はい』
『千紘のことよろしくね』
『……もちろんです。絶対に連れて帰ります』
おばさんはそう言って電話を切った。その後山内さんに事情を説明し学校へ車を走らせた。
「先生……久しぶりです、連絡した通り学校内を探させてください」
「ああ、もしこれで見つからなかったら警察へ連絡するからな。心当たりはあるんか?」
いろんな過程を想像する……もし千紘がいじめられていたなら、定番は体育館か倉庫とかだろ? 閉じ込められたからでれない、とかが妥当か? ……多分だけど。
「体育館見に行きます……そこにいなかったら、また考えます」
「そうだな、まずはそこを探そう……急ごうか」
職員室から体育館までは少し歩いた。ここは俺の母校でもあるから一応どこに何の教室があるかはわかってるつもりだ。
体育館には3つ倉庫がある。一つは学芸会の大道具の倉庫、二つ目は体育祭、三つ目は体育館の中にある小さな空間の倉庫だ。