【改稿版】明日はキミのために泣きたくない。
講義を受けてから菜央と一緒にカフェテリアに向かうと亜樹はコーヒーを飲みながら勉強しているようだった。イヤフォンをしながらやってるから私が近づいているのに気づいてくれない。
「亜樹っ」
「うわぁっ! 千紘か……びっくりした〜」
出していた物を片付けてリュックにしまい、右肩だけに肩紐をかけてカフェテリアを出た。
「今日も俺んちで良い?」
「うん」
亜樹くんは大学の近くのアパートの部屋を借りていて、お昼が被ればお邪魔して講義まで過ごしている。
「ねえ、千紘」
「……どうしたの?」
「好きだよ」
毎日伝えられても慣れなくて、毎回照れる。彼はいつも愛情表現が激しい。それがとても嬉しい……けど、まだあのことはちゃんといまだに言えていなかった。
「まだ、だめ?」
「うん……ごめんね」
――傷の、理由を。事故だけど、もし言ってしまったら彼も離れて行くようなそんな気がした。