ただいま配信中!~年上幼馴染は人気Vtober~
「じゃ、俺はこれな。写真撮るか―」

 出雲くんはチョコレート味を取って、スマホを取り出した。

 多分番組に出して、お礼を言うんだろう。

 またそのとき、一瞬だけちくっと痛んだ。

 でも今は感じられた優しい気持ちがあったから、私はほとんど自覚しなかった。

 パッケージを開けて、かぷっとかぶりつけば、ふわっといちごの甘い味が口いっぱいに広がった。

「おいしい!」

 きっと私は満面の笑みになっていたんだろう。

 隣で自分もお菓子を開けている出雲くんに笑われてしまった。

「幸せそうな顔」

 からかうように言われて恥ずかしくなった。

 お菓子を食べて幸せそうな顔なんて。

 子どもっぽかっただろうか?

 さらに何故か、すっと手が伸びてきた。

 私のくちびるのはしになにかが触れる。

 なんだろう、と思ったときには私の肌の上で、するっと指が動いていた。

 私はぽかんとしてしまう。

「まったく、夢中になって口につけるとかガキだな」

 指はすぐ引かれてしまった。出雲くんはあきれたように言う。

 おまけに引いた指……多分お菓子の欠片がついていた指を、ぺろっとなめた。

 一体なんだろう。

 なにが起こったんだろう。
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