ただいま配信中!~年上幼馴染は人気Vtober~
「もちろん。よく考えてくれ」

 ふ、と出雲くんは微笑んだ。

 それで私の手を包んでいた大きな手は、不意に離された。

 代わりに私の頬に、その優しい感触が触れる。

「今日、悪かったな。いきなり交際宣言とかして」

 大きい手に頬を包まれて、間近で見つめられて、私の心臓はどくどくと速くなったまま。

 なんとか返事をした。

「う、うん、びっくりしたんだから……」

 それにはもう一度、笑われた。

「悪かったって」

 間近で見つめ合って、微笑まれている。

 この状況に心拍は高鳴るばかりだ。

 ただ出雲くんを見つめ返すしかできなかったけれど、出雲くんは声のトーンを落として、静かに言った。

「IZUは恋人とかできないけど、志摩 出雲の彼女はお前だけなんだって。そう言いたかったんだ」

 とくん、と心臓がひとつ跳ねた。

 そう、IZUに恋人はできないだろう。

 ファンの女子がいたりするという意味よりも、バーチャルな存在だから誰のものにもならないのだ。

 でも、IZUではないときの出雲くんは。

「これからはもっと、もっと、お前を独占していたい」

 そう言ってくれたのがすべてだった。

 出雲くんは、IZUではない出雲くんは、私だけの恋人でいてくれる。

 それがきっと、この約束と同棲プロポーズなのだ。
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