処刑直前の姫に転生したみたいですが、料理家だったのでスローライフしながら国民の胃袋を掴んでいこうと思います。
「あ、あの、これはどういう状況なのでしょうか」

おそるおそる声をかけると、カウルはピクリと眉を動かした。


「なんだと?」

「ここはどこですか? 地獄ですか? わたし生前になにかしてしまったのでしょうか。
愛想はなかったかもしれませんが法律を破ることもなかったし、人様に迷惑をかけることもなかったと思います。SNSで調子に乗りすぎましたか? でもあれはわたしの趣味だったし、大切に育てた食物もうまく出来た料理も、誰かに見せたかったし誉めて欲しかったんです。

あ、もしかしてそっちで稼いでいたのがダブルジョブで規定違反だったでしょうか。身バレするのがいやで誰にも言ってなかったので会社にも秘密だったんです」


「はああ?なにいってるの?」

赤髪君は眉をしかめた。


「訳わかんないこと言い出してさ、それも作戦ってわけ?生前なにしたかなんて自分が一番よくわかってるでしょ。
このノーティ・ワンが財政難になったのも、お前のわがままと豪遊のせいじゃないか。敵国に攻められて、ここまでズタボロになったのも、遊ぶ金欲しさに敵国の男に城の内部情報を流して稼いでいたからだろう!」

赤髪君が叫ぶと、その周りにいた男達がそうだそうだと声をあげた。

わ、わたしが豪遊?!

質素に暮らしてきたはずなのに、まさか。
あっ…でもおとといはセールの卵じゃなくて赤卵を買ったけれども…! そのくらいの贅沢も許されないのだろうか。
それに、城の情報ってなに?

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