私を見て、私を愛して
1
日常
灯りを絞った間接照明にぼんやりと照らされたリビングで、ゆか子は目を覚ました。
壁の時計を見ると、22時を少し回ったところだった。
カチカチと時計の針の音がやけに響く。
暖房の効いた部屋は思考をぼんやりさせる。
一瞬、夜が明けたのかと思ったが、そんなことはなかった。
夫の洋樹の帰宅を待っているうちに、睡魔が襲ってきて、少しだけ目を閉じたら眠ってしまったというわけだ。
< 1 / 128 >