私を見て、私を愛して
「……美味しい。」

あまりの美味しさに言葉がこぼれ落ちた。

ひと口食べるともっと食べたくなり、もう一口食べた。

やっぱり美味しい。続いて、アジフライの周りにある小鉢に目を向ける。

茶色くて味がしっかり染み込んでいそうな、きんぴらごぼうを一口食べる。たまご焼きもひじきの煮物も……

全ての小鉢をひと口食べたゆか子は、ほぅっと感嘆のため息をこぼした。

(なにこれ!?美味しすぎるよ!!ここは天国なのかしら。)

ゆか子が夢中で食べていると、洋樹がニコニコしながら聞いてきた。

「気に入った?生姜焼きもちょっと食べる?」

ゆか子は無言で茶碗を差し出した。

洋樹がそこに生姜焼きを乗せてくれる。

分けてもらった生姜焼きを口に含んで、顔を綻ばせた。

定食を完食して、両手を合わせた。

「ごちそうさまでした。」

食事に大満足のゆか子は、水を飲んで腹を落ち着かせた。
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