私を見て、私を愛して
「『ダメ男製造機』?」

聞き覚えのない言葉に首をかしげた。

「そう、男をダメにするってこと!」

京香がビールのグラスをドンっとテーブルに叩きつけて言い切った。

ゆか子には思い当たることがあった。

相手に自分の気持ちを伝えて何かをやめてもらうより、何も言わずに自分がやった方が早くて楽だ。

だから伝えることを諦めて、ひとりで先回りしてしまう。

それが続いた結果、相手はゆか子のことを『自分の言うことに文句を言わない扱いやすい女』だと判断するのだろう。

「それってどうしたらいいの?」

京香は考えるそぶりを見せたが、すぐに頭を振った。

「無理かもね。今に始まったことじゃないし。今度は、ゆか子がやめてほしいって思う行動がない人にしなよ。そしたら先回りすることも少なくなるはずよ。あぁ、あと愛を返してくれる男がいいんじゃない?ゆか子って自分が愛をあげたのと同じ分だけ愛を返して欲しい人でしょ?」

「そうなのかな?」

ゆか子には自覚がなかった。


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