私を見て、私を愛して
高校から知っている京香が言うなら、そうなのだろう。

「無償の愛なんてないの。そんなこと言ってられるのは最初だけよ。あげた分だけ返してほしくなるものなのよ。」

京香は遠くを見ながらポツリとつぶやいた。

それはまるで京香自身のことを言っているようだった。

「ねぇ、京香。最近なにかあっt「それよりゆか子、新しい男見つけな。優しくて、束縛が激しくなくて、感謝を忘れなくて、高収入な男。」」

ゆか子の声が京香の声にかき消された。

京香にとって触れられたくない話題だったのかもしれない。

ゆか子は深追いしない方がいいと判断し、声を被されたことに気づかないふりをした。

「……そんな人いる?」

「あはは、いないでしょ。」

ふたりは笑いながらビールを飲み干した。


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