私を見て、私を愛して
息を吐き出すと、ゆっくり目を開いた。

ゆか子は起き上がって、テーブルの上にある携帯を手に取った。

携帯の画面をじっと見つめるが、なかなか決心がつかない。

携帯を手に取ったまま、もう一度目を閉じた。

携帯をぎゅっと握りしめる。

「あー、よし!女は度胸!!」

ゆか子は意を決して目を開き、アプリをダウンロードした。

広く名前が知られていて、利用者からの評価も高いマッチングアプリだ。

手を止めたら決心を鈍らせてしまいそうで、ダウンロードしてから間を置かず、アプリを起動させ、マッチングアプリに登録した。

マッチングアプリはどうしても出会いがなかったときの最終手段だと思っていたのに、登録してみるとなんともあっけなかった。

ゆか子はテーブルの上に携帯を戻した。

「素敵な人に出会えますように。」

顔の前で両手を合わせて、携帯に向かって願掛けをする。

「これでよし!」

ベットに横になり、目を閉じた。

(マッチングアプリさま、私に良い人を連れて来てください。)

ゆか子は祈りながら眠りについた。


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