私を見て、私を愛して
好印象すぎて何かとんでもない欠点があるのではないかと、疑ったほどだ。

何度かデートを重ね、この人とならうまくいくはずだと思うようになった。

お互いに次に付き合う人とは結婚前提で、ということは共通の認識だった。ゆか子は結婚までの期間を考えると、そろそろ交際に発展させたかった。

デート中の雰囲気から考えると、向こうも同じ気持ちの可能性が大きかったし、何度もデートをしているから悪くは思っていないはずだ。

洋樹からでなくても、ゆか子の方から交際を申し込む言葉を言ってしまおうかと考えていた。

そんなとき、洋樹が女性と歩いているのを見た。

年齢はゆか子と同じか少し下ぐらいだろうか。

彼女を見た瞬間、ゆか子は負けた、と思った。

同性のゆか子から見ても、とても可愛らしい女性だった。

(やっぱりそうか。)

その女性を見たとき、初めて洋樹に会ったときの疑いの感情が蘇ってきた。

洋樹は最初から、ゆか子のことは見ていなかったのだ。きっとこの人が本命だ。


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