私を見て、私を愛して
「え、じゃあその日、ともはどうしたの?ひとり?」

洋樹は友也のことを「とも」と呼ぶ。

洋樹は友也がひとりで留守番したのかと驚いているようだが、ゆか子が友也にそんなことをさせるはずがない。

「実家に預かってもらったよ。」

「なんで?ともがかわいそうじゃん。てかママ、実家に頼りすぎじゃない?子育て楽してるみたいに思われるじゃん。」

「なんでそういう考えになるの?元々は洋樹さんが同窓会の前日になって急に予定があるって言うからでしょ!私はずーっと前から何回も言ったよ、同窓会があるって!」

洋樹の言葉にゆか子はついカッとなった。

(かわいそうってなによ?実家に頼りすぎってなによ?子育て楽してるってなによ?そう言うなら洋樹さんが協力してくれたらいいじゃない。そうしたら実家に預けることも子育て楽してるって思われることもないでしょ!)

洋樹がそこまで言うなら、ゆか子にだって言いたいことがたくさんある。

「あー、もういいよ。」

洋樹はゆか子が言っていたことを思い出したのか、めんどくさくなったのか、諦めたように会話を終わらせた。

ゆか子と洋樹の間に険悪な雰囲気が漂う。

洋樹は空気に耐えきれなくなったのか、リビングを出ていった。

おそらく顔を洗いにいったのだろう。
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