私を見て、私を愛して
(あー、イライラする。)

その間にゆか子は黙って食器洗いを済ませた。

洋樹の朝食をテーブルに用意する。

ゆか子は定位置である洋樹の向かい側の椅子に座った。

ちょうど用意し終わったとき、洋樹がリビングに戻ってきた。

洋樹は黙って朝ごはんを食べる。

空腹が解消されて少し機嫌が良くなったのか、洋樹が話しかけてきた。

「ママ、今日って何かあったっけ?どっか行くの?」

洋樹は自分の記憶を思い出しているのか、うーんと唸っている。

「ないよ。どこにも行かない。」

洋樹は不思議そうな顔をした。

(……私が言っていたとしても覚えてないくせに。思い出すだけ無駄よ。頭の中に答えはないんだからね。)

ゆか子は多少おさまったが、まだイライラしていた。

洋樹は、なぜゆか子が綺麗な格好をしているのか、理解ができないのだろう。

何かを言おうした洋樹が口を開いたとき、ぬいぐるみ遊びをしていた友也がこっちに向かって走ってきた。


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