私を見て、私を愛して
「汚れるよ。」

汚れるかもしれない。

だがその覚悟を持った上でゆか子はこの服を着ている。

もちろん汚したくはないが。

「動きにくいよ。あと友也と遊びづらい。」

動きにくいし遊びづらい。

それはさっきの追いかけっこで十分わかっている。

(動きにくいとわかっているなら、洋樹さんが友也と遊んでくれてもいいのに。食器洗いだって汚れるとわかっているなら、せめて自分の分だけでもやってくれたらいいのに。)

ゆか子は、はぁ、とため息をついた。

今日の洋樹はいつもに増して辛辣だ。

洋樹の言葉が胸に刺さる。

洋樹はさらに追い討ちをかける。

「それに……ぷっ、くくっ、その顔ひどいよ。その顔でともを追いかけてるとき、山姥みたいだったよ。ははっ、本当に酷すぎる。」

洋樹のストレートな言葉にゆか子は絶句した。

(……信じられない!そんなこと言うなんて!)

洋樹の遠慮のない言葉に傷つき、胸が抉られるようだった。
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