私を見て、私を愛して
ゆか子は今すぐに食べるか、あとで食べるか迷った結果、あとで食べることにした。

今食べることにすれば、友也の世話でゆっくり食べることはできないだろう。

子どもと共に食卓を囲み、同じタイミングで食べることは大切だと思う。

だが、たまには母親だってゆっくりごはんを食べたい。

友也が夕食を終え、ゆか子はキッチンで食器を洗う。

キッチンから友也の方を見ると、床にちょこんと座ってテレビを観ていた。

時折、友也の笑い声が聞こえる。

テレビから流れる笑い声につられて笑っているようだ。

その姿がとっても微笑ましい。

食器洗いが終わってキッチンを出ると、友也が寝息を立てて床で眠っていた。

今日はたくさん遊んで疲れてしまったのだろう。

ゆか子は友也に声をかける。

「ともくん、ここで寝たら風邪ひくよ。」

ゆか子の声にわずかに身じろいだが、起きる様子はない。仕方なく友也を抱き上げた。

「よっこいしょ。」

寝ている子どもを抱き上げるのは、起きているとき以上に腰にくる。

(もうすっかり大きくなったんだな。)

ゆか子はひとり、感慨深くなった。
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