私を見て、私を愛して
5
相談
会社の昼休み、ゆか子はカフェにいた。
わざわざカフェを訪れたのは、金曜の夜にメッセージを送った相手に会うためだ。
待ち人はまだ来ていない。
ゆか子は注文したアイスカフェオレを口に含む。
コーヒーの苦味とミルクの甘さがほのかに口の中に広がる。
冷たいカフェオレがゆか子の熱くなった体を冷やしてくれた。
お店の自動ドアが開き、友人の京香が小走りで近づいてきた。
急いでできたのだろう、息が上がっていた。
「ごめん!待った?」
「大丈夫だよ。」
息が上がったまま、ゆか子の前の席に座った。
京香は、ゆか子の前にあるカフェオレをちらりと見た。
「ランチもう注文した?」
ゆか子はまだカフェオレしか注文していない。
「まだだよ。京香が来てから注文しようと思ってた。」
「そっか、ありがとう。何食べる?お昼休み終わっちゃうから早速注文しよう。」
ふたりはカフェランチセットを注文した。
店員がお辞儀をして去っていく。
「それで?何があったの?」
京香がタイミングを見計らったように話を切り出した。
「まぁ、十中八九旦那のことでしょうけど。」
やはり京香にはわかっていたようだ。
ゆか子はあの日のことを思い出し、口を開いた。