私を見て、私を愛して
「それはひどいわね。でもさ洋樹さんにわざわざ、その服着る意味ないって言われるなんてどんな格好したの?」

「私が友也を産む前に、お気に入りでよく着てた花柄のワンピースあるでしょ、あれ。」

ゆか子が以前、お気に入りでよく着ていたワンピースのことは京香も知っている。

そのワンピースを着て、京香と会ったことは1度や2度ではない。

「あー、なるほど。それは……」

京香が納得したように呟いた。言葉を途切れさせたその先が気になる。

「それは何よ。」

「洋樹さんの言い方も悪いと思うし、庇うわけじゃないけど……」

京香の歯切れの悪い言い方が気になり、勿体ぶられている気持ちになったゆか子は、京香をじっと見つめて先を急かす。

「ワンピースはダメでしょ。そこまであからさまじゃない方がいいわ。」

京香が覚悟を決めたように、一度息を吐き出してからはっきりと言いきった。

「だって、綺麗な格好しなさいって京香が言ったんじゃない。」

「私はスウェットをやめなさいって言ったのよ。」

呆れたような京香の言葉にゆか子は反論する。

「そうよ、だからワンピースに「だからそこが違うの!」」

ゆか子の言葉は京香に遮られてしまった。
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