私を見て、私を愛して
 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

『旦那をガッツリ掴む作戦その2』が失敗に終わった次の日の朝。

相変わらずスッキリしない天気の土曜日。

洋樹は残業の疲れがあったのだろう。起きたのはお昼に近い時間だった。

ゆっくりと起床した洋樹は、サンドウィッチを食べている。

「これ豪華で美味しいね。でも朝からローストビーフのサンドウィッチって珍しいね。」

ゆか子は昨日のやけ食いを思い出す。

結論から言うと、ゆか子は昨夜、料理を完食することはできなかった。

ゆか子が用意した料理は、明らかに2人分の量を超えていた。

20代のやけ食いであれば食べ切れた可能性が大きい。

だが、昨夜は食べきれなかった。

30代に入り、胃に入る量が減ってしまったという現実を突きつけられた。

全て食べ尽くしてやるとあんなにも意気込んでいたのに、完食なんて到底無理だった。

そういうわけで、昨夜食べきれなかった料理を朝食に使った。

余ったローストビーフとサラダをパンで挟み、豪華なサンドウィッチを作った。

「あぁ、それね。昨日の夕食が残ったからね。」

ゆか子は昨夜のことを引きずっている。

眠ったことで多少はスッキリしたのだが、まだ完璧に納得できたわけではなかった。
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