私を見て、私を愛して
　◇ ◆ ◇ ◆ ◇

「えっと、あの、それでね。なんていうか、給料日でお祝いしたかったことは伝えれたんだけど……」

「だったら良かったんじゃないの？」

京香に呆れられるだろうと思いながら、ゆか子は重い口を開いた。

「……実は連絡のこと言えなくて。」

「それはつまり、もっと早く残業になったって連絡がほしかったことは伝えれなかったってこと？」

「その通りです。」

京香に聞き返されたゆか子は姿勢を正して、縦に首を振った。

「大事なことじゃない！なんで言わなかったのよ！！」

ゆか子の想像した通り、京香に怒られた。

だから知られたくなかった。

「幸せな雰囲気だったから壊したくなくて。」

京香が、はぁ、と一際大きなため息をついた。

「そう言うことは気になった時に言っておかないと、後悔するわよ。早い方がいいの、お互いにとって。早く言ったら、その分ゆか子も早く安心できるし、洋樹さんだって後で言われると今更言うなって思うよ。」

「そうだね。」

京香の言葉に納得する。
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