私を見て、私を愛して
さすがモテる女は違う。

自分が我慢しなくていいように、相手に最適なタイミングで伝えることが大切なのだ。

「来月も頑張りなさいよ。」

「え?」

「まさか今回だけだと思ってないわよね?」

ゆか子は気まずくなって視線を逸らす。

そんなゆか子に構わず、京香は続けた。

「給料日の料理は続けなさい。毎回妻が準備してるってわかったら、少しでも早く帰れるように頑張ってくれるかも知れないでしょ。それに続けないと疑われるかもよ。」

「疑われるって何を?」

「やましいこと?うーん、不倫とか?」

「な、なんてこと言うの!?」

ゆか子は驚きで目を見開き、思わず声を上げた。

「ゆか子が言ったんじゃない。何にもない日に豪華な料理作ったら疑われるかもって。」

(それとこれとは話が違う!……よね?)

「いやでも、今回は給料日だから作ったって伝えたんだからセーフじゃない?」

「今月だけなんておかしいって思うかもよ。やましいことがあるから給料日を利用したんだって。」
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