私を見て、私を愛して
「考えすぎじゃない?」

「夫婦なんて、どこからどう拗れるかわからないんだから、注意するに越したことないの。」

京香は考えすぎのような気がしたが、反論を飲み込んだ。

『夫婦はどこからどう拗れるかわからない』

その言葉が現実的で、ストンと腑に落ちるような感覚がしたからだ。

「まぁでも、特別な日じゃなくても妻が毎日料理を作って待ってるんだから、毎日頑張りなさいって話だけどね。」

京香がゆか子をフォローするように言った。

「ははは、確かにそうだよね。」

ゆか子は自分の話に一区切りついたところで聞いてみた。

「京香は悩みとかないの?いつも私ばっかり相談に乗ってもらっちゃってる。」

いつも相談に乗ってもらっているゆか子としては、気になるところだ。

「うん、まぁ、そのうち、ね。」

京香にしては珍しく歯切れが悪かった。

(すごく気になるけど、なんだか言いにくそうだし、京香が話したくなるまで待った方が良いかな。)

ひとりでそう結論づけたゆか子は今回は聞かないことにして、話題を変えた。

「わかった、そのうちね。じゃあ、私の『作戦その3』はどうしたらいいか教えてよ。」

「……ゆか子、ありがと。」

京香が小さく呟いた。

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