私を見て、私を愛して
その手がゆか子に触れる前に、友也が手を伸ばし、洋樹の手を握った。

それを見て、ゆか子は洋樹と顔を見合わせて笑った。

友也を真ん中にして、3人で手をつないでゆっくりと歩く。

瞳をきらきらと輝かせる息子はかわいいが、あちこちへ走り出そうとするのを宥めるのに必死だった。

ゆか子が周囲の店に目を走らせたとき、人混みの中に見覚えのある人を見たような気がした。

「あれ?あの人って……」

「どうした?知ってる人でもいた?」

「あー、うん。そうかなって思ったんだけど……」

ゆか子の言葉に洋樹が反応した。ゆか子は首をかしげる。

その人を観察するようにじっと見た。

だが、その人はゆか子の知っている人にはありえないところがあった。

「連れてる人が違うから、人違いだと思う。」

ゆか子は自分を無理やり納得させた。

「少し近づいてみる?」

ゆか子の腑に落ちていない表情を見たのだろう。洋樹が提案してくれた。
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