私を見て、私を愛して
7

デート


太陽がうっすらと雲に覆われて、過ごしやすい日だった。

ゆか子は隣に座る洋樹の横顔をそっと覗き見る。洋樹は運転中だ。

真剣な顔で、前をじっと見つめている。

(どこに行くんだろう。)

窓の外を見ながら考えていると、車が信号に引っかかり、車が止まった。

なんとなく横からの視線を感じて、洋樹の方を向いた。

「寝てるのかと思った。もうちょっとで着くよ。」

洋樹は目が合うと、少し驚いた顔をした。

カチカチッとウインカーを出して車が駐車場に入る。

洋樹は車を停めてゆか子を見た。

「ここ。俺が1回だけ行ったんだけど、美味しかったから。」

店の看板には『食堂タナカ』と書いてある。

いかにも下町情緒あふれる地元の食堂といった外観で、あまりゆっくり話せそうな雰囲気はない。

洋樹に促されて店に入ると、いかにも店主といった雰囲気の恰幅の良いおじさんが、一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに人好きする笑顔でふたりを店に迎え入れた。

「いらっしゃい。」

ふたり案内されるまま、4人がけのテーブル席に座った。
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